『ひなちゃんの日常』南ひろこ

051007幼い頃に夢中になったもののひとつにプラモデルがあった。そしてマンガ。マンガは今でも驚くほどの数が出版され、書店の棚を埋めている。
   
マンガが嫌いになったわけではないが、以前のように根をつめて読むだけの余裕がなくなってきた。『スラムダンク』(井上雄彦作、集英社、全24巻)のような連作マンガは実におもしろいと思うが、読み始めたら最後、途中でやめられなくなるのが恐ろしい。
   
ちょっと気晴らしに、心の緊張をほぐしてくれるような“ほんわか”したマンガが欲しい時がある。ふと開いたところを読むのも良いし、ちょっとした合間に手に取れるような本だ。寝る前にベッドの中で読むのでも良い。ここでおすすめするのが『ひなちゃんの日常』だ。
   
この本に巡り会ったのは単なる偶然からだった。「ひな」というのは、実は拙宅の一員となって盛りだくさんの幸せをもたらしてくれたにもかかわらず、生後わずか数ヶ月で急逝したかわいい子犬の名前である。その愛くるしい面影を思い浮かべながら漫然と「ひな」というキーワードをインターネットで検索していたところ、この本がヒットした。「ふ〜ん、何かの縁でもあるのかな」と思いながら購入してみたところ、わが家のワンコひなと負けるに劣らずかわいらしい、別のひなちゃんがわが家に登場した、という次第。
   
余談になるが、ワンコのひなはプラシュスキー・クリサジークというチェコ産の珍しい犬種である。日本国内にはまだ数十頭程度しかいない。筆者のウェブサイトの〈アルバム〉には故ひなばかりか、今は家族の一員として欠かせない牡のカーヤとひなの妹オニカなど、この犬種の写真が満載されている。「何よりも人の膝に乗るのが大好き」という人なつっこい性格をした愛すべき存在で、見ていても飽きないし、大きな憩いを与えてくれる。(産経新聞ニュースサービス)