見てわかるとおり、これは音楽の本ではない。タバコをやめたい、と思っている人へのガイドブックだ。タバコはもはや“個人の嗜好”として片づけられる問題ではない世の中である。
このマニュアルはインターネットを通じてサポートする「禁煙マラソン」という禁煙システムの提唱者である医師の高橋と、マラソン事務局長の三浦によってまとめられた「禁煙のコツ」のコンデンスである。何を言う、この私がこの方法でタバコをやめられたのだから、自信を持って声高らかに「これはいい!」と叫びたい。
私がいたずらでこっそりタバコに火をつけてみたのは小学生の時だった。あの煙を吸い込むとは思いもつかず、タバコに息を吹き込んで火を絶やさないようにしたのを覚えている。その後15歳で「お、吸い込むのか」と理解し、親には内緒ながら16歳から本式にスタートした。日本ではまだ法律違反の年齢だが、留学地として選んだウィーンでは合法だった。それ以来だから、筋金入りのスモーカーだったとも言える。葉巻もやったし、パイプもやった。ライターにもそれなりの金をかけた。
それでもやめられたのだ。やめてよかった、と本心思う。過去の自分は棚に上げて、喫煙者の臭さにへきえきしている今日この頃である。「やめてみようかな」でも良い。決断は先送りするとして、とりあえずこの本をぜひ読んでいただきたい。(PHP研究所)