日本人はおしなべて「大人同士の洒落た会話」を楽しむのが下手なようだ。何かの祝賀会のような機会に知らない人と同席しても、そこで会話が盛り上がることはあまり期待できない。 初対面の人との専門外の会話にも気軽に参加し、そこを笑 […]
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『ワーキングプア―日本を蝕む病』NHKスペシャル『ワーキングプア』取材班・編(ポプラ社)/『高学歴ワーキングプア―「フリーター生産工場」としての大学院』水月昭道
ワーキングプア。悲痛な響きだ。最近使われるようになった言葉だが、目いっぱい働いても生活保護の水準にも届かないような収入しか得られず、人生の将来像を描くことがまったくできない人々のことだ。正社員や専任講師のように給与が保証 […]
『音楽でウェルネスを手に入れる』市江雅芳
演奏家として活動するためには、日々の練習が欠かせない。器楽奏者の練習時間は日々数時間というところだろうか。身体そのものが楽器である歌手は、器楽奏者よりもっと短時間で終えるのが一般的だ。私の専門はピアノだが、「何時間も続け […]
『地平線に』前田隆平
某内閣は「戦後レジームからの脱却」というスローガンを掲げ、「原爆投下はしょうがない」という某大臣の発言が徹底的に糾弾されるなど、いまだに第二次世界大戦の記憶が私たちの意識下にくすぶっているのは、紛れもない現実だ。 私自身 […]
『観る─宇宙からの出発─』大野一道
著者の大野は歌手である。円熟の境地にさしかかる50代で、すばらしい声の持ち主だ。もともとは西洋音楽のジャンルからスタートしたものの、そこに自分自身と融合しきれない一種異質なものを感じ、日本語で歌う、日本人としての表現を追 […]
『エリザベート ハプスブルク家最後の皇女』塚本哲也
ソ連が崩壊し、ヨーロッパから共産圏が消滅し、欧州諸国が現在のように連携して通貨まで統一されるなど、誰に想像できただろうか。しかしそこに至るまでのヨーロッパの長い歴史は緊張に満ち、苛酷なものだった。 塚本の語るエリザベート […]
『夜と霧』ヴィクトール・E・フランクル[著]新版・池田香代子/初版・霜山徳爾[訳]
1956年に初訳が上梓されて以来、世代を越えて読み継がれてきた本である。第二次世界大戦中にナチスドイツの強制収容所に収容されながら、奇跡的な生還を果たした精神科医が書いたものだ。極限状態において人間の精神がどのように反応 […]
『キリスト教と音楽』金澤正剛
ヨーロッパの音楽が発展する過程において、キリスト教の存在は欠かすことができない要素である。古くは教会における礼拝の音楽として使用され、こうした日常のミサで歌われるような讃美歌も、捨てがたい味わいを持っている。一方この教え […]
『旭山動物園園長が語る命のメッセージ』小菅正夫
車を運転中、ラジオから流れてきた物語に思わず耳を奪われた。本の朗読だった。「僕」が子供の頃、毎日を自然の中で過ごし、いろいろな昆虫や小動物を見つけては育てた思い出が語られる。命を慈しみ、大切に育てた気持ちが痛いほど感じら […]
『日本人の忘れもの』中西進
WEDGEという月刊誌をご存じだろうか。東京近辺を中心に販売されている月刊の経済誌だ。JRの子会社が出版している。JR東海系の駅の売店には必ず置いてあるし、最近は私鉄の売店でも見かけるようになった。しかしJR東日本の駅の […]