「活字離れ」が心配される今どきの小学生や中高生にとって、活字を読んで文脈を理解するのはしんどい事なのだろう(もちろん大学生以上も例外ではない…)。必要に迫られない限り、文字ばかりの本を自発的に読むことは、あまり期待できそ […]
紀伊國屋書評空間
『ブルクミュラー25の不思議 なぜこんなにも愛されるのか』飯田有抄・前島美保
話題となっているのは初心者向けのピアノの教材だ。楽しげな語り口で語られていく内容は、とても充実している。また学術的なリサーチとしても充分な価値がある、貴重な一冊だ。 ブルクミュラーは1806年にドイツで生まれた作曲家で、 […]
『バロックとその前後の鍵盤音楽の運指法』橋本英二
ピアノの勉強方法にはさまざまなパターンがある。それぞれが奥深い。指の訓練も欠かせないが、知識面からのサポートも有用だ。今回は「世の中にはこんなことに興味を持つ人もいるのか」と驚く、限りなくマニアックな本を紹介したい。 バ […]
『カネを積まれても使いたくない日本語』内館牧子
「若者言葉と、きちんとした国語と、この二つを使い分けるように教育することが重要であり、必要だと思う。(本書7ページ)」という著者の提言は、まったくその通りだと思う。しかし問題は、いい年をした大人までがこうした言葉をつい使 […]
『「アジア人」はいかにしてクラシック音楽家になったのか?──人種・ジェンダー・文化資本』吉原真里
アジア人にとって、西洋音楽であるクラシック音楽は特異なものではない。日本の環境もそうであるように、若者は西洋音楽の中で生まれ、育ち、教育される。彼らにとっての音楽は西洋音楽なのだ。そうした環境の中、音楽にのめりこみ、もっ […]
『レイヤー化する世界 テクノロジーとの共犯関係が始まる』佐々木俊尚
アベノミクス効果によって経済は上向き、給与も上がり、消費は増加し、日本はまた活気を取り戻すのだという。信じたいのはやまやまだが、本当にそんなバラ色の近未来がくるのだろうか。しかし「祇園精舎の鐘は鳴る…」と始まる平家物語に […]
『ギャンブラー・モーツァルト』ギュンター・バウアー
古今の偉人たちの人生は、とかく神格化されてしまい勝ちだ。自らに課した課題のために他のあらゆることを犠牲にし、天から与えられた使命に没頭する姿が描写され、人並みはずれた集中力について語られる。こうして一旦誰もが納得するレッ […]
歌うネアンデルタール』スティーヴン・ミズン 熊谷淳子訳 & 『言葉と脳と心』山鳥 重
最近、気になっていることがある。言語と音楽の共通点だ。双方とも人類ならではのコミュニケーション手段だが、そこにはルールが存在する。言語には「単語」という部品があり、それらを組み合わせるための「文法」が存在する。西洋音楽に […]
『ショパン・エチュード作品10の作り方 & ショパン・エチュード作品25の作り方』パスカル・ドゥヴァイヨン 村田理夏子訳
ショパンが作曲した24曲のエチュードは、ピアノを学ぶ者はもちろん、すべてのクラシック系ピアニストが最高の芸術性、技術および明晰な頭脳をもって挑むべき試金石である。若者にとっての登龍門となる国際コンクールでも、必ずと言って […]
『お墓に入りたくない! 散骨という選択』村田ますみ
人生には、年を重ねてこそ初めてわかることがある。心意気はまだ若くても、体力の衰えを実感するようになり、心配事が増えてくる。二十代の頃には想像できなかった現実にいやおうなく直面させられるのだ。たとえば、なってみないと老眼の […]