『ジュリアードで実践している演奏者の必勝メンタルトレーニング』ドン・グリーン 那波桂子訳、辻秀一監訳

演奏家をめざしつつも、メンタルの問題に悩んでいる人への福音となる本かも知れない。とは言うものの、この本に書かれていることを忠実に守りさえすれば、今抱えている問題への解決が提供されるノウハウ本ではないことは、あらかじめ知っ […]

『ピアノと日本人』斎藤信哉

ピアノを教えることは、私の大切な仕事のひとつだ。そんな時に折に触れて使う表現がある。曰く「そんなふうにピアノの調律師みたいな弾き方で音を出してはいけません」。感性の良い学生はこの言葉だけで納得し、音の響きが即座に変わるこ […]

『ウィーン・フィルとともに』ワルター・バリリ著 岡本和子訳

「古き良き時代」という言葉がある。自分の人生をふり返ったときに多くの人が感じる、「あのころは良かった」「あの時は幸せだった」という郷愁に似た思い出だ。辛かったこと、不自由だったこともたくさんあったはずだし、おそらく幸せよ […]

『ベートーヴェン』平野昭

「作曲家 人と作品シリーズ」の中の一冊だ。9月に刷り上がったばかりだから、ベートーヴェンの伝記として、現時点では世界でもっとも新しいものだろう。ベートーヴェンの生涯を追った伝記の部分とともに活気にあふれた言葉でまとめられ […]

『どうして弾けなくなるの? 〈音楽家のジストニア〉の正しい知識のために』J. ロセー、S. ファブレガス

演奏家に特有な局所性ジストニアという病気をご存知だろうか。4月の書評『ピアニストの脳を科学する』でも触れた病名だが、この疾患に関するきわめて詳細な書籍が出版された。バルセロナ(スペイン)にある音楽家専門治療施設「テラッサ […]