第二次世界大戦が終結してから65年。戦闘員としての体験を自分の声で語れる人も少なくなりつつある。敗戦国となった大日本帝国とともに、ナチス・ドイツの行為を記した書籍は数多い。そうした中で、フランクルの『夜と霧』(筆者の20 […]
紀伊國屋書評空間
『もし大作曲家と友だちになれたなら…』スティーブン・イッサーリス 板倉克子訳
小学校高学年から大人まで誰でも気楽に読める、楽しく魅力的な本である。一般的な“偉人伝”とは違った味わいの、さまざまなエピソードが提供されている。本書を読めば、登場する主人公を単なる偉人として尊敬するだけでなく、愛すべき隣 […]
『バレンボイム音楽論─対話と共存のフーガ』ダニエル・バレンボイム 蓑田洋子訳
バレンボイムは実に多才な音楽家だ。演奏にはたぐいまれな安定感がある。若い時から、「危うさ」を感じさせない演奏がバレンボイムの魅力だったように思う。そして彼のレパートリーの広さと量も並大抵ではない。天才、なのだろうか? ず […]
『生かされて。』イマキュレー・イリバギザ
ルワンダはアフリカ中東の内陸にある小さな国だ。アフリカとは言え高原に位置するため、年間平均気温は19℃と過ごしやすい土地だという。ここに住んでいるフツ族とツチ族の間では、しばしば部族対立が起こった。1994年にはフツ族に […]
『フレンチの達人たち』宇田川悟
「食」は文化の大きな柱のひとつとして古今東西、常に歴史とともにあった。中でもフランスのそれは単なる“食事”と片づけけられぬ、至福の調和に満たされた食文化の頂点を担うものとして、現在もファンが多い。 本格的なフレンチディナ […]
『ベートーヴェンの音符たち』池辺晋一郎
餅は餅屋。「芸は道によって賢し」や「海のことは漁師に問え」というのも同義の格言だ。本書ではまさにその神髄を味わうことができるだろう。伝統ある不動のクラシック音楽月刊誌『音楽の友』に連載された、多忙な(=人気絶大の)作曲家 […]
『琴剣(ことつるぎ)のちゃんこ道場』琴剣淳弥
スポーツファンは多かれど、根っからの相撲ファンは少数派だろう。年齢層も比較的高いに違いない。その昔に若貴時代といわれた、若乃花・貴乃花兄弟が活躍していた時代はともかく、このところの角界の勢いは今ひとつだ。テレビのワイドシ […]
『水が笑う』津久井ひろみ
「詩集」というジャンルの書物に、正面から向き合ってみた。一般的な詩とのつきあいは初めてではない。職業柄、歌曲を伴奏する際には、事前のテキスト研究が不可欠だ。しかし“書評”という角度からあらためて詩集を手にしてみると、不思 […]
『藤田晴子音楽評論選 ピアノとピアノ音楽』藤田晴子
前回は「とんでもない評論家」の迷文を集めた本を紹介させていただいたが、今回は「すばらしい評論家」の紹介だ。藤田晴子である。2003年秋に惜しくも故人となった藤田は、日本の音楽界にあってピアニストとしての視点から書かれた評 […]
『名曲悪口事典』ニコラス・スロニムスキー編
「ベートーヴェン以降の名曲悪評集」 批評家、という職種がある。個人的につきあえば立派な人格の方々だが、一般的にはあまり歓迎されない場合が多い。そうした大先生のご意見を拝聴、拝読させていただくのは興味深いものの、自分自身が […]