1956年に初訳が上梓されて以来、世代を越えて読み継がれてきた本である。第二次世界大戦中にナチスドイツの強制収容所に収容されながら、奇跡的な生還を果たした精神科医が書いたものだ。極限状態において人間の精神がどのように反応 […]
紀伊國屋書評空間
『キリスト教と音楽』金澤正剛
ヨーロッパの音楽が発展する過程において、キリスト教の存在は欠かすことができない要素である。古くは教会における礼拝の音楽として使用され、こうした日常のミサで歌われるような讃美歌も、捨てがたい味わいを持っている。一方この教え […]
『旭山動物園園長が語る命のメッセージ』小菅正夫
車を運転中、ラジオから流れてきた物語に思わず耳を奪われた。本の朗読だった。「僕」が子供の頃、毎日を自然の中で過ごし、いろいろな昆虫や小動物を見つけては育てた思い出が語られる。命を慈しみ、大切に育てた気持ちが痛いほど感じら […]
『日本人の忘れもの』中西進
WEDGEという月刊誌をご存じだろうか。東京近辺を中心に販売されている月刊の経済誌だ。JRの子会社が出版している。JR東海系の駅の売店には必ず置いてあるし、最近は私鉄の売店でも見かけるようになった。しかしJR東日本の駅の […]
『こちら禁煙外来』高橋裕子
「38のちょっといい話」 「タバコをやめられないのは病気」というのが厚生労働省の見解となり、皮膚に貼って禁煙中のニコチン切れによる渇望症状を緩和するニコチンパッチのような禁煙補助薬の処方に保険が適用されるようになった。タ […]
『ピアノの巨匠たちとともに(増補版)』フランツ・モア 中村菊子訳
「人間と信仰」 モアはドイツ人だ。祖国の敗戦をきっかけにアメリカに渡り、ニューヨークのスタインウェイ社に入社、その後多くのピアニストに信頼される調律師となった。スタインウェイ社のピアノを使って世界的に活躍するトップアーテ […]
『日本音楽の再発見』小泉文夫・團伊玖磨
「欧米の後を追いすぎる日本」 1983年に急逝した小泉は「伝統音楽」に造詣が深い音楽学者だった。日本はもちろんアジアやアラブ諸国の音楽を詳細に研究し、それまで常識だったクラシック音楽崇拝の風潮に大きな波紋を投げかけた。小 […]
『渋谷』藤原新也
「死んでもええやん!」渋谷にたむろする少女たち 過日わが国におけるドイツ文学研究の大御所であられる某先生と、音楽の話を交えながら酒を酌み交わす機会に恵まれた。その席には他のお歴々もおられ、楽しい一時だった。私にとってラッ […]
『海峡を渡るバイオリン』陳昌鉉(鬼塚忠・岡山徹聞き書き)
フジテレビ開局45周年記念企画として草彅剛の主演で2004年にテレビドラマ化されたので、それをご覧になった方も多いだろう。原著を構成した鬼塚と岡山の語り口は秀逸で、読み始めたらそのまま最後のページまで一気に読ませてしまう […]
『感じて動く』佐渡裕 聞き手:辻秀一
クラシック音楽界で押しも押されぬスターとなった佐渡裕。その佐渡は修業時代に「バーンスタインに会うためにアメリカに行ったのに、そこからウィーンに飛ばされて放りっぱなしにされてしまったのです。世の中からつまみ上げられて、ボー […]