“学者の研究”と聞くと、敷居が高そうに感じるものだ。専門用語が並び、難解な言い回しが続く。「今日は日曜日です」ですむものを「さまざまな考察と明治以降の近代日本における歴史的習慣をふまえた上で、本日が日曜日である、という事 […]
紀伊國屋書評空間
『ひなちゃんの日常』南ひろこ
幼い頃に夢中になったもののひとつにプラモデルがあった。そしてマンガ。マンガは今でも驚くほどの数が出版され、書店の棚を埋めている。 マンガが嫌いになったわけではないが、以前のように根をつめて読むだけの余裕がなくなってき […]
『モーツァルト 演奏法と解釈』エファ&パウル バドゥーラ=スコダ
モーツァルトのピアノ作品をモーツァルトらしく弾けるようになるための指南書だ。読んでおもしろい、という本ではないが、奥が深い。難解な学術書とは違って実践のためのアドヴァイスがたくさん掲載されている。ここから得られる知識は他 […]
『現代医学のみた大作曲家の生と死 ハイドン、モーツァルト』アントン・ノイマイヤー
「死に様」の話題は人の注目を集めやすい。殺人事件の顛末を憂い、闘病記のたぐいに心を痛める裏には、死に関する興味がひそんでいる。それもそのはず、誰もが避けて通れないのが死である。自分にどんな死が準備されているかは、その時に […]
『古楽とは何か』ニコラウス・アルノンクール
音楽芸術は変化する。聴衆の好みも、演奏家が訴えようとすることも、時代とともに変わる。その中で尺度となるのが「作曲家はどう感じていたのだろう」「創作当時の音楽環境はどうだったのか」という、オーセンティシティーに関する考察で […]
『本当は聞こえていたベートーヴェンの耳』江時久
地方のうらぶれたレッスンスタジオの本棚に並んでいたのを拾い読みしていたところ、やめられなくなってしまった。こっそり鞄に入れて持ち帰ってしまおうかとも考えたが、かろうじて踏みとどまった。自宅に帰ってネットで検索してみたが、 […]
『双子座ピアニストは二重人格?』青柳いづみこ
いつもながら、青柳の文章を読むとスカッとする。状況に応じた単語の選択と表現のセンスが秀逸なのだ。言わんとすることの雰囲気がストレートに感じられる。文章のリズム感も絶妙だ。この本にはこうした爽快さが満載されている上に、多岐 […]
『完全禁煙マニュアル』
見てわかるとおり、これは音楽の本ではない。タバコをやめたい、と思っている人へのガイドブックだ。タバコはもはや“個人の嗜好”として片づけられる問題ではない世の中である。 このマニュアルはインターネットを通じてサポートする […]
『ウィーン音楽の四季』河野純一
いろいろな資料をまとめただけのウィーン情報とはひと味違う、ウィーンに住んでいたことのある人の視点で書かれた、とてもおしゃれな内容の本である。私自身20年あまりウィーンに住んでいたからこそ自信を持って太鼓判を押せるのだが「 […]
『ウィーン・オーストリアを知るための50章』
“音楽の都ウィーン”とは絶妙なネーミングである。私事で恐縮だが、長年住み慣れたウィーンから日本に本拠を移した際に、仕事整理用の法人を作って「アトリエ・ウィーン」と命名した。会社であるからには領収書を発行してもらうことが欠 […]