マリンバという楽器をご存じだろうか。平たくいえば大型の木琴だが、木製の鍵盤ひとつひとつに共鳴パイプがつけられ、ふくよかな、味わい深い音が出るように設計されている。もともとはアフリカの民族楽器だったものが、さまざまな工夫に […]
紀伊國屋書評空間
『チェンバロ』久保田彰
まずは単純明快に感想から述べよう。コンパクトながらも手にした時に充実した質感を感じられる、とても美しい本である。内容もこの本ならではの貴重なもので、クラシック音楽ファン、とりわけバロック音楽愛好家にとっては愛蔵して決して […]
『来世は野の花に』秋山豊寛
「鍬と宇宙船 II」 2007年に出版された『鍬と宇宙船』の続編である。ジャーナリストだった秋山は1990年12月に日本人初の宇宙飛行士としてソ連の宇宙船ソユーズに乗り組んで宇宙ステーション・ミールに行き、そこから美しい […]
『教養としてのバッハ』礒山雅・久保田慶一・佐藤真一編著
「生涯・時代・音楽を学ぶ14講」 私が教鞭を執っている国立音楽大学には、いくつか自慢できるものがある。そのひとつは図書館だ。http://www.lib.kunitachi.ac.jp/にアクセスした後にページ下部のWe […]
『ピアニストの脳を科学する』古屋晋一
脳科学・身体運動学からひもとく、音楽する脳と身体の神秘」 ピアノストの指の動きと、それをコントロールする脳の活動の関連が、とてもわかりやすく書かれている。「練習して弾けなかったことが弾けるようになると、脳や身体はどう変わ […]
『TPP知財戦争の始まり』渡辺惣樹
最近の日本の政治は、どうなってしまったのだろう。「昔は良かった」とはつゆとも思わないが、何も決まらない、前に進まない。「末期的」という言葉が脳裏に浮かぶ。「政権交代によって世の中が変わるかもしれない」という期待は、もはや […]
『楽譜を読むチカラ』ゲルハルト・マンテル 久保田慶一訳
演奏家としての将来を夢みつつ練習に余念がない音楽学生たちが「よりよい演奏を目指したい」と思いたった時には何に注目すべきか、そしてそれをどのように実践したらよいのかを懇切丁寧に解説した指南書である。いわゆる「演奏論」のジャ […]
『年老いた猫との暮らし方』ダン・ポインター『のこされた動物たち』太田庸介
老いは人間だけに訪れるのではない。すべての生き物にとって平等だ。弱肉強食の自然界に生きる野生動物たちにとって、老いによる衰えは死を意味する。 しかし医療の発達により、動物園で飼育される動物、あるいは家庭で愛されるペットに […]
『日米衝突の根源』渡辺惣樹
二年前にもこのブログで同じ著者による『日本開国』を紹介したが、その後も継続して行われた地道なリサーチの成果がふんだんに盛り込まれた力作が上梓された。本書には1858年から1908年に至る時代──日本における明治時代──の […]
『モーツァルトの虚実』海老澤 敏
日本におけるモーツァルト研究を牽引する音楽学者、海老澤敏による最新の著書である。紐解くと、冒頭には一世を風靡した映画『アマデウス』に関する話題が提供されている。この映画は私も見た。いまだに強烈な印象が残っており、それがは […]